いつでも、どこでも、有難い
今月で42歳になった住職ですが、私が子どもの頃はテレビで「心霊番組」というものを盛んにやっておりました。
日本テレビ系の「あなたの知らない世界」が夏休みの楽しみでしたし、宜保愛子さんの番組も大好きでした。また中学生ぐらいまで学研の『月間ムー』もしっかりと読んでいました。
ですが、映像技術が発展し、心霊写真や恐怖映像など簡単に作れる今となっては「どうせ作り物だろう」と考えてしまい、昔ほど楽しめなくなってしまいました。
そもそも浄土真宗では「おばけなんてないさ♪」という立場をとります。
個人的には「見たことないけど、みんなが嘘をついているなんてことはないだろうなあ」とは考えていますが・・・
先日、久しぶりに昔の心霊特集番組の再放送をみていてあれ?と思うことがありました。
なにかといいますと、廃墟に行ったタレントさんが「お経が聞こえる・・・怖い!!」と言っていたのです。
昔なら「怖っ!」と思っていたでしょうが、僧侶となった今では「本当にお経が聞こえたんなら有難いやん。」と考えてしまいます。
私が僧侶になるために行ってた合宿中に、ある先生が「私の師匠は『なまんだぶつ』が口癖で、トイレの中でも言ってはった。私も早くそのような境地に至りたい。」とおっしゃっていたことを思い出します。
お念仏やお経が、どこでもかしこでも、自然に口をついて出てくるのは僧侶としての一つの理想じゃないかなあと思います。
信心をいただいて、疑うことなく受け入れられるようになれば、きっとその理想に近づけるのではないでしょうか。
そうすれば心霊スポットでもトイレでも病室でも、自然に口をついてお経や念仏を唱えられるようになるかもしれませんね。